家なき子の主題歌として爆発的ヒットを飛ばした中島みゆきさんの「空と君のあいだに」。
ドラマ主題歌としてのオファーをもらってから作ったと言われる曲ですが、その歌詞の内容は非常にみゆきさんらしい表現が多く含まれています。
この記事では「歌詞の解釈は人それぞれであるべき」といった前提を元に、筆者の解釈を勝手に書き記したいとお思います。
「空と君のあいだに」は犬目線で書かれた曲
Wikiには以下のように書かれています。
歌詞は同ドラマの主人公すずの愛犬リュウの目線から歌ったもの。そのためミュージック・ビデオにも多数の犬が登場する。また、中島が主題歌を依頼された時点で設定が「犬を連れた家のない少女が主人公」しか決まっておらず、唯一の手掛かりである犬の写真だけでイメージを膨らませて曲を書いた。中島曰く「犬の気持ちで見れば、犬が見えているのは『空』と『君』しかないんです」
引用元:Wikipedia
歌詞の内容があまりにもドラマにピッタリだったので、てっきり台本を最初から最後まで読み込んで作った曲かと思ってましたが、まさか「犬を連れた家のない少女が主人公」という設定と「犬の写真」だけを手がかりに作っていたとは驚きでした。
みゆきさんならどんなテーマでお願いしても名曲に仕上げてくれそうですね。
いずれにしてもみゆきさんのコメントから察するに「空と君のあいだに」は犬目線で書かれた曲であることが濃厚です。今回はそのことを前提に歌詞の解釈をしていきたいと思います。
君が涙のときには僕はポプラの枝になる
個人的な意見ですが、みゆきさんは「歌い出し」のワンフレーズに命をかけてるんじゃないかと思うような曲が沢山あります。そしてそんな曲は例外なく超がつく名曲です。
「空と君のあいだに」もそんな超名曲のひとつ。
実はこの曲の中で一番好きな部分が歌い出しのワンフレーズだったりします。
君が涙のときには僕はポプラの枝になる
孤独な人につけこむようなことは言えなくて
「ポプラの枝になる」という表現が非常にみゆきさんっぽくていいですよね。
解釈には色々とあるようですが、個人的には「防風林としてのポプラ」という解釈が好きです。
防風林とは家屋を強い風からの守る木々のことを指します。そう解釈すると「君が悲しいときは僕がそばにいて君を守るよ」と読み取ることができます。
これだけでも十分ロマンチックなのですが、続く「孤独な人につけこむようなことは言えなくて」というフレーズがあるからこそ冒頭の歌詞がみゆきさんらしいなと感じられます。
「孤独な人につけこむようなことは言えなくて」とはつまり、悲しんでる君に安易に優しい言葉をかけたくないという心情が感じ取れます。
例えば、落ち込んでる人にやさしい言葉をかければ簡単に取り入ることができます。本当は相手を思いやる気持ちが全くなかったとしても。
だから僕はただ黙ってそばにいることを選んだのだと私は解釈しています。なぜなら僕の目的は君に気に入られることじゃなく君を守ることなのだから。
みゆきさんの歌は「人知れず誰かを支えている誰か」にスポットを当てることが多いように感じます。
例えば「タクシードライバー」という曲では、顔を泣きはらして乗車してきた女性に対して、何があったのか聞くわけでもなく、天気予報が外れた話と野球の話を何度も繰り返すという歌詞がありますし、「蕎麦屋」という曲では、友達との他愛もない会話の中の一言に救われたりする場面が描かれています。
直接的ではなくとも、人知れず自分を支えている誰かがいることをみゆきさんの歌は気づかせてくれます。
歌い出しだけで随分と長い考察になりましたが、それだけ重要なフレーズだと個人的には感じています。
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
そしてもうひとつハッとさせられるのがサビの最後。
君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる
この歌詞本当に台本見ないで書いたんですか?笑
と言いたくなるくらいドラマにドンピシャな歌詞です。
「家なき子」の中で主人公のすずはお母さんの治療費を稼ぐために沢山の悪いことをします。ときには盗みを働いたことも。
でも全ては誰かを守るためなんです。
誰かを守るために悪いことをするのは果たして本当に悪なのか?
そんな問いかけをされているようにも感じます。
自分のための悪行は悪。
誰かのための悪行は愛。
正しいかどうかは別として、そんなふうに考えることも出来るかもしれませんね。
少なくとも物語の中で愛されるヒール役はほとんど後者のように思います。
ここにいるよ、いつまでも
さて、今回は「空と君のあいだに」の歌詞の中で個人的に好きなフレーズを考察してみました。
歌の主人公(犬)のメッセージとして一番強いのは、
ここにいるよ、愛はまだ
ここにいるよ、いつまでも
の部分と個人的には感じています。
何か特別なことが出来るわけじゃないけど、いつまでもここにいるよ。
何かしてもらわなくても、ただそこにいてくれるだけで救われる。
そんな優しさもあると思います。
かなり自己解釈が多い内容だったと思いますが、最後まで読んでくださりありがとうございました。